専2 オプトエレクトロニクス
1章 光とエレクトロニクス
光エレクトロニクスとは? optoelectronics
光電子工学:「電子工学(electronics)」と「光学(optics)」に及ぶ技術分野
・光エレクトロニクスの発展
1960年 レーザの出現
1980年代 光ファイバ通信の実現
1982年 CDの商品化
・オプトエレクトロニクス
1873年 セレンの光伝導効果
1888年 外部光電(光電子放出)効果
・エレクトロオプティクス
1845年 ファラディ(磁気旋光)効果
1875年 カー効果
・量子エレクトロニクス
1954年 メーザ(MASER):アンモニアビームメーザ(波長1.25cm)
1960年 ルビーレーザ(694nm)
光エレクトロニクス:「量子エレクトロニクス」、「エレクトロオプティクス」、「オプトエレクトロニクス」に関連する光学、エレクトロニクス技術の総合
光波
周波数 f [Hz]、 波長 λ [m]、 光速度 C [m/s] の関係:f λ = C
屈折率 Refractive index
真空中の光速度を C0 、媒質中の光の速度を C とすると屈折率nは
n = C0 / C
真空中の波長を λ0 、媒質中の波長を λ とすると
λ = λ0 / n
光学
幾何光学、波動光学、量子光学
光学の歴史、電磁波のスペクトル [pdf]
Maxwell方程式
Faradayの電磁誘導の法則
Ampere-Maxwellの法則
・・・Maxwell方程式
磁場におけるGaussの法則
電場におけるGaussの法則
・・・補助方程式
・・・媒質方程式
電磁波の存在 波動方程式 [pdf]
光の粒子性
1887年 ヘルツ(Hertz):光電効果の発見
1905年 アインシュタイン(Einstein):光量子(light quantum)
光子1個あたりのエネルギー:E = h v ( h :プランク定数、v :振動数)
光電子放出:光を金属に当てた時、金属から放出される電子のエネルギーEe
Ee = h v -φ (φ:金属の仕事関数)
コンプトン効果 Compton effect
X線を物質に照射すると、一部は透過・吸収し、残りは散乱する。
・トムソン散乱(Thomson Scattering):同じ波長の電磁波が放射される。
・コンプトン散乱(Compton Scattering):照射X線より長い波長のX線が放射される。
コンプトン散乱
ここで電子の質量m は
以上の式から入射光と散乱光の波長の差Δλ = λ1 - λ0は
となる。
光の放射
・熱放射(thermal radiation):熱を電磁波として放射する現象
・ルミネセンス(luminescence):
外部エネルギーを吸収して励起状態となり、基底状態に戻る時に発光する現象
・高速運動する荷電粒子からの放射
○制動輻射(bremsstrahlung):
荷電粒子が加速(減速)される時に放射される電磁波
○シンクロトロン輻射(synchrotron radiation):
荷電粒子を磁場によって円運動させた時放射される電磁波
○チェレンコフ輻射(Cherenkov radiation):
物質中の光速よりも速い速度で荷電粒子が運動した時に放射される電磁波
黒体(Blackbody)放射
黒体の放射スペクトル:
・ Rayleigh Jeans Law of Radiation(レイリー・ジーンズの公式)
長波長側で実験結果と一致
・ Wien's displacement law(ウィーンの変位則)
短波長側で実験結果と一致
・ Planck(プランクの公式)
上記の両公式をつなぐ公式
光の吸収
半導体での光の吸収
・ 内殻電子による光吸収: 基底準位からの電子の遷移
・ 基礎吸収(固有吸収): 価電子帯から伝導帯への電子の遷移
・ 不純物励起: 不純物準位を介しての電子の遷移
・ 励起子: 励起子準位への電子の励起(正孔と対になって移動)
2.2 Siの結晶と電気伝導
2.2.1 共有結合
2.2.2 自由電子と正孔
2.2.3 エネルギー帯
2.2.4 真性半導体
2.2.5 不純物半導体
2.2.6 半導体を流れる電流
半導体の電気伝導(本科講義の復習) [pdf]
2.3 pn接合ダイオード
2.3.1 pn接合
2.3.2 ダイオード特性
(2)カソードルミネセンス:電子線励起
ex) CRT(ブラウン管)
(3)ガス放電による励起
ex) ガスレーザ、プラズマディスプレイ
(4)真性エレクトロルミネセンス(固有電界励起):電界による励起
ex) 無機EL、有機EL
(5)注入型エレクトロルミネセンス:キャリア注入による励起
ex) LED、半導体レーザ(LD)
(6)シンチレーション:放射線による励起
(7)化学ルミネセンス:化学反応、分子間エネルギー遷移による励起
(8)生物発光:生物が行う化学反応
発光寿命による分類
・蛍光(fluorescence):発光寿命が短いもの
・燐光(phosphorenscence):発光寿命が長いもの
3.1.2 半導体の発光機構
励起状態から電子・正孔の再結合によって発光する。
・放射再結合:フォトンを放出する(発光する)
・非放射再結合:フォノンを放射する(発光しない)
(1)バンド間遷移(教科書p.33図3.4)
a)直接遷移型(価電子帯頂上と伝導帯の底のk値が同じ。発光確率大きい):GaAs, AlSb, InSb, ZnO
b)間接遷移型(価電子帯頂上と伝導帯の底のk値が異なる。発光確率小さい):Si, Ge, GaP
(2)不純物準位による遷移
(3)励起子(エキシトン)による遷移
3.2 発光ダイオード
3.2.1 発光の仕組み
LED:Light Emitting Diode
pn接合を利用。順バイアスを印加することで、それぞれの領域に少数キャリアを注入して、キャリア(電子と正孔)が再結合することによって発光する。
GaAs(直接遷移型):Eg=1.43eV(発光波長910nm)
GaP(間接遷移型):Eg=2.26eV → 発光効率低い
GaAsP(混晶):混晶の割合によりEgを制御
3.2.2 等電子(アイソエレクトロニック)トラップの形成による発光効率の改善
電子を引きつけやすい窒素NをGaPに添加することで、電子をN原子に補足させ、電子の存在位置を(おおよそ)確定させる。
ハイゼンベルグの不確定性原理により、位置が確定されると運動量p(すなわち波数k)が不確定になるので、波数はどんなk値でももてるようになる。
このように考えると、間接遷移型のGaPでも、直接遷移型と同じように再結合が行われる(発光効率が大きくなる)。
3.2.3 ダブルヘテロ接合による発光効率の改善
ヘテロ接合:Egが異なる(小さな)材料を間に挟んだpn接合
発光層にキャリアを閉じ込めることによって再結合の確率を大きくして発光効率を上げる。
3.2.4 発光ダイオードの構造
LEDの構造と応用 [pdf]
3.3 レーザ
LASER:Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation
誘導放出による光の増幅作用
3.3.1 半導体レーザ
・誘導放出:入射光と同波長、同位相の光を放出 → レーザ放出
・反転分布(population inversion)
・反転分布状態(発振条件)にするためにレーザ媒質にエネルギーを与えることをポンピング(pumping)という。
半導体レーザ:注入電流によるポンピング
固体レーザ:強い光の照射によるポンピング
気体レーザ:放電によるポンピング
ダブルヘテロ構造:活性層に、キャリアと光の閉じ込め効果
3.3.2 固体レーザ
3.3.3 気体レーザ
レーザ [pdf]
4章 光センサ
4.1.1 可視光
・380nm~780nm(紫・藍・青・緑・黄・橙・赤)
・人間の視感度:一番感度の良い555nm(緑)の感度を1とした値(比視感度)
4.1.2 赤外線
・0.8μm~1000μm
・近赤外(光学的、光通信)、中赤外(熱)、遠赤外(リモートセンシング、THz波、サブミリ波)
4.2 可視光の測定
4.3 赤外線の測定
光測定 [pdf]
4.4 可視光センサ
4.4.1 光電子変換器
4.4.2 半導体光センサ
センサ [pdf]
4.5 赤外線センサ
4.5.2 熱型センサ
5.1 ブラウン管
1897年 ブラウン(オーストリア)発明
1927年 高柳健次郎、ブラウン管で受像
1953年 シャープ、白黒テレビ発売(国産1号)
5.2 プラズマディスプレイパネル PDP
PDP:放電現象を利用したディスプレイの総称
1964年 アメリカで発明。1966年イリノイ大(AC型)、1968年フィリップス社(オランダ)(DC型)
1993年 富士通、21型カラーPDP
1997年 富士通ゼネラル、42型プラズマテレビ
5.3 エレクトロルミネセンス EL
・無機EL(真性エレクトロルミネセンス)
・有機EL(注入型エレクトロルミネセンス)
5.4 液晶表示素子
1888年 ライニッツァ(オーストリア)発見
1973年 シャープ、電卓に採用
・液晶相:流動性(液体と同じ)と分子配列の規則性(固体と同じ)を併せ持つ中間相
・温度転移型:ある一定温度範囲で液晶性を示す
・濃度転移型:ある濃度範囲で液晶性を示す
・分子配列による分類:ネマティック液晶、スメクティック液晶、コレステリック液晶
ディスプレイ [pdf]